【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
✱ ✱ ✱



「ただいま」 

 その日の夜、俺は帰宅してすぐ、アユリの元に駆け寄った。

「おかえりなさい。……え、レイヤ?」

 すぐにアユリの唇を奪って、キスをする。

「どう、したの……? 何かあった?」

 アユリは心配そうな表情で、俺を見つめる。

「アユリ、俺たち子供を作ろう」

「えっ……?」

 アユリは俺の言葉に驚いたのか、目を見開いて俺を見る。

「子供を作りたいんだ。アユリと俺の、子供」

「いきなり、どうしたの……?」

「そろそろ、家族が欲しいなって思ったんだ。子供は俺たち好きだし、結婚して二年経ったし、そろそろ子供が欲しいなって思ったんだ」

 アユリは俺の問いかけには答えず、「ご飯の用意するね」とだけ話した。

「アユリは子供、欲しくないのか?」

「……欲しくない、訳じゃないよ。出来たらいいなって思ってる」

 でもその答えの中に、アユリの迷いみたいなものがあるように感じた。 でもそれがなんの迷いなのか、俺には分からない。
 アユリの迷いが、見えない。

「レイヤ、ごめん……」

「ん?……どうした?」

 アユリは俺に申し訳なさそうに、「炊飯器のスイッチ……入れるの忘れちゃった」と言ってくる。
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