【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「ハハッ……どうした?アユリらしくないな?」

 アユリが炊飯器のスイッチを入れ忘れるなんて、珍しい。

「ごめん……!私、すぐご飯買ってくるね!」

 エプロンを外して出かけようとするアユリに、俺は「いいよ、今日は外食でもしよう」と提案する。

「ほんとにごめん……。お腹空いてるよね」

「大丈夫だよ。気にするなって」

「私ってば、今日全然ダメダメ……」

 こんなに落ち込んでるアユリは久々に見たけど、一体どうしたんだろうか……?

「何かあったのか?」

 そう聞くとアユリは、「うん、まあちょっとね……」とだけ答える。

「俺で良ければ、話聞くよ」

「ん……ありがとう」

 アユリの悩みを解決したい気持ちがあるけど、俺に出来ることがあるのかはまだ分からない。
 だからこそ、真剣にちゃんと話を聞きたい。

「で、どうした?」

 アユリをソファに座らせると、アユリは静かに話し始めた。

「実はカナトがね……」

「カナト……?」

 なんだ?またカナトが、アユリに何か言ったのか……?!
 いや、それってもしかして……俺のせいか?

「カナトが……私に甘いって言うの」

「甘い?」

 甘いってなんだ? なんのことだ?
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