【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「デザートにティラミスあるけど、アユリ食べるか?」

「ティラミス? どうしようかな」

 悩んでいると、レイヤは「じゃあ、俺も食べるから、二人で半分こしよう」と提案してくる。

「……うん、それならいいよ」

「じゃあティラミス頼んでくるな」

 席を立つレイヤの後ろ姿を見ると、なんかレイヤの背中が大きく見える。

「レイヤの想い人……って誰?」

 もしかして、レイヤの想い人って……初恋の人とかなのかな? 
 初恋の人は忘れられないって、よく聞くし。

 レイヤの初恋の人は……一体どういう人なんだろう。
 
 私たちは政略結婚だから、結婚した時に愛があったかなんて分からない。
 多分レイヤはなかった。私は少なからず、幸せになれるならってそれを受け入れる覚悟があったけど。

 レイヤのことは、たまに分からない。愛がなくても、男の人は女の人を抱けるし。キスだって普通に出来る。
 レイヤがそうなのかなんて分からないけど、レイヤは私を大切にしたいと思っていると、そう言ってくれた。

 だから私は、その言葉を信じることにした。でも、今は……このまま一緒にいて幸せになれるのか、本当に分からない。
 愛なんて、冷めてしまうものだから。
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