【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「アユリ、おはよう」

「あ……おはよう」

 レイヤの想い人が気になって仕方ない私は、レイヤとどう接していいのか分からなくなっていた。

「……アユリ? どうした?」

「え? あ、ううん。なんでもない」

 レイヤの想い人のことなんて、気にしても仕方ないのに。だって私が、レイヤの妻なんだから。
 そうだよね?レイヤ……。

「レイヤ、今日の晩ごはん、なにが食べたい?」

 レイヤのネクタイを結びながら、私はそう問いかける。
 レイヤは「そうだなあ……」と悩みながら、私のネクタイを結ぶ手を見つめる。
 そしてレイヤは「俺の今日の気分は、中華かな」とにこやかに答える。

「中華ね。分かった」

 と答えると、レイヤは私の手をぎゅっと握りしめる。

「……ん?」

 え、なに? と思っていると、レイヤは私に「アユリ、いつもありがとう」と言ってくる。

「えっと……急にどうしたの?」
 
 レイヤの「ありがとう」という言葉に、少しばかり困惑する。

「いつも感謝してるってことを伝えたくてさ」

 レイヤにそんなに褒められると、なんだかドキッとするのはなぜだろう。

「……ありがとう、レイヤ」

「ん。 じゃあ行ってくる」
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