【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 カナトはペットボトルをテーブルに置くと、私を見て「アイツに何か吹き込まれたんだろ?」と聞いてくる。
 私はすぐに「違うよ。そんなんじゃない」と否定するけど、カナトは信じてくれそうにない。

「アイツしかいないだろ?そんなこと言うの」

 私はクッションを抱きかかえながら、「お願いだから、分かって」と伝える。

「……分かってって、なんだよ」

「カナトのことは大事だよ、大切な家族だし。……でもね、カナトはレイヤのことを否定するけど……レイヤと私は幸せなの、今。 だからね、あなたに私たちの幸せを壊してほしくない」

 私の気持ちを分かってほしい。私はただそれだけなの。
 でもね、カナトにはそれは分かってもらえない。そんな虚しいことない。

「あなたにも、幸せになってほしいと思ってる。カナトにも、大切な人をいつか守れる人になってほしいの」

「……大切な人?」

 そう、大切な人。カナトにだって、本当に守りたい人だっていると思う。
 
「カナトの好きな人って……私なんでしょ?」

「……っ!」

 その言葉を聞いたカナトは、目を見開いて驚いたような表情を見せる。

「そうなんだよね?」

「……っ、それは……」

 私は、この事実を知ってしまった。
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