【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
「……そう、なんだね」
これがカナトの正直な気持ち。
「でもそれと同時に、悔しかった。なんで俺は弟なんだろう。なんで俺たちは家族なんだろう。 そんなことばかりが頭に浮かんだよ。……もし俺がアイツだったらよかったのにとか、そんなことばかり考えてた」
カナトの今にも泣きそうなその表情が、私の胸を苦しくさせる。
「だから俺は、姉ちゃんのことをこんなに好きなんだって気づいて虚しくなった」
「え……?」
「俺の姉ちゃんへの想いは、これからずっと一生叶うことなんてないって分かってるから、余計に虚しくなったんだよ。 俺がどれだけ姉ちゃんのことを好きでも、姉ちゃんにはこの想いは届かないし、届くことなんてないから」
そうだ、私はカナトの気持ちに応えることなんて出来ない。 私たちは姉弟であって、それ以上でもそれ以下でもない。
カナトは単なる弟であって、私にとっては家族でしかない。 私はレイヤと結婚していて、レイヤのことを愛しているから。
「だからこそ俺は……少しでも姉ちゃんのそばに、いたかった」
そう悲しげな表情で呟くカナトに、私は「ごめんね……カナト」としか言えなかった。
「でも……姉ちゃんが幸せなら、それでいい」