【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
「……え?」
「姉ちゃんがアイツと結婚して幸せなら、それでいいよ。……俺は姉ちゃんの弟、だから。姉ちゃんの幸せを一番に願う義務があるからな」
私にとってカナトは、大切な家族だ。だからこそ、これが禁断の恋だということを、私は思い知らされる。
「姉ちゃん、俺は姉ちゃんが幸せになることだけを一番に願ってる」
「……ありがとう、カナト」
カナトはソファから立ち上がると、私に向かって「俺、この家出てくから、安心して」と微笑んだ。
「……残酷なこと、言ってるのは分かってるの」
「いや、それが普通だと思う。……なるべく早く荷物まとめて出ていくから、もう少しだけ待っててくれよ」
カナトはそう言い残すと、部屋へと歩いていってしまった。
カナトの姿が見えなくなった後、私はため息を吐いた。
「ごめんね……本当にごめん」
私は、何もかもカナトのせいにした。カナトのせいでと、言い訳しようとした。
本当は違うのに。本当は……私たちがちゃんとカナトと向き合ってないせいなのに。
レイヤはカナトが私のことを好きだということを知っていた。本人にも聞いたと、私はこの耳で聞いたんだ。
それはレイヤなりの、カナトへの宣戦布告だったはずだ。