【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 だけどレイヤは、私にそれを言わなかった。それは、私を傷付けるかもしれないから、そう言っていた。 
 だから私たちは、カナトをただ苦しめただけに違いない。

 レイヤにあの日記の写真を見せたら、レイヤの表情はあまり変わらなかった。 
 それは前から、レイヤがそれを知っていたからだったと知った。

「レイヤ……」

 そんなことも知らない私は、二人に仲良くなってほしいなんて思ってた。
 本当にバカな人間だなと、つくづく思って笑えた。

「バカだったのは、私だね……」

 二人を傷付けるようなことをしたのは、私だった。 二人には申し訳ないことをした。




「アユリ、大丈夫か?」

 その日の夜、レイヤは私のことを気にかけてくれた。
 そんな私の隣に座ったレイヤは、「カナトのこと、気にしてるのか?」と問いかけてくる。

「……うん」

 頷く私の手を握ったレイヤは、「カナトのことは、俺も悪かったと思ってる。……ごめん」と私の肩を抱き寄せる。

「私は、どうすればよかったのかな……?」

「アユリはいつも通りで大丈夫だと思うよ」
 
「本当に……?」

 レイヤは「本当に」と頭を優しくポンポンと撫でる。

「……傷付けたかな、私」
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