ウィザードゲーム 〜異能力バトルロワイヤル〜
各々が嘆息した。
中には初めて知る内容もあり、それへの驚きもそうなのだが、何よりここまで突き止めた二人の労力に感心してしまう。
「凄い……。これ、どうやって?」
「色々な伝手がありますのよ」
うららは得意気に言った。この内容自体は紗夜と彼女の二人で集めた情報をまとめたものらしい。
さすがにこれにはアリスも完敗だと認めざるを得ず、まじまじと眺めながらノートのページを写真に収めていた。
「でも、まだまだ不完全だよ。ゲームのルールもこれでぜんぶってわけじゃないだろうし、見て分かるように運営側については何も分かってない……」
これほどの情報があっても、紗夜たちの状況は小春たちとほとんど同じのようだった。
ゲームに関する情報は生存のために不可欠である。しかし、喫緊で求めているのは運営側の情報だ。
それが皆無である現状、手詰まりと言わざるを得ない。
全員がそう感じたのか、困苦を滲ませ口を噤んだ。
「……そういえば、名花で死亡者が出たらしいですわね」
うららは話題を切り替える。琴音の眉が、ぴくりと動いた。小春は若干俯きつつ頷く。
「うん……。彼は、私たちの仲間」
「あら、そうでしたの……? 無神経に踏み込んでごめんなさい」
亡くなった名花高校の魔術師と小春たちには、関連があるか、ないにしても何らかの事情を知っていると踏んで来た。
だが、それほど近しい存在だったとは思わず、詳細を聞くことを躊躇してしまう。
「どうして亡くなったの? 誰かに殺された? 魔法はどうなったの?」
うららとは一転、紗夜は無遠慮に尋ねた。
「ちょっと、紗夜」
「何? 立ち止まっててもしょうがないじゃん……。仲間だったって言うなら、残された人間に出来るのは、せいぜい彼の死を無駄にしないことでしょ」
いつものように窘めたうららだったが、今回ばかりは紗夜の言い分が正しいように思えた。
琴音は一度目を閉じてから「そうね」と静かに頷く。
「あなたたちにも話しておくわ。同盟も結んだことだしね」
慧の死に関して、そしてその日の出来事に関して、琴音が中心となりながら紗夜たちに説明した。
冬真や律という脅威と、彼らと大雅の関係、さらに瑠奈の存在に至るまで包み隠さず話しておく。
すべてを聞き終えたとき、うららの表情が怒りに染まった。
「とんでもない畜生ですわね、如月冬真とやらは……。わたくしたちも加勢するから、さっさと殺してしまいましょ」
目には目を、歯には歯を、死には死を────。
紗夜もうららも小春たちと目的は一致していたが、殺しを厭うことはなかった。
危険因子も、悪党も、仇敵も、一人残らず殺してしまえばいい。
魔術師となったことで、せっかくそれが許容されたのだ。
憎い相手に直接制裁を下すことが出来る権利を行使しない手はないだろう。さもなくば泣き寝入りだ。