ウィザードゲーム 〜異能力バトルロワイヤル〜
*
カンカンカン……と、けたたましい音を立てながら踏切のランプが点滅する。
小春を急かしつつ、蓮は歩調を速めた。
そんな蓮に追従しようとした小春だったが、不意に目の前から小銭の散る音がした。
高齢女性がまごついているのが目に入り、咄嗟に駆け寄って屈む。
「大丈夫ですか?」
ぶちまけられた小銭を拾い集めていると、踏切の向こう側で蓮が振り返った。
「小春?」
「ちょっと待ってて!」
そう返したとき、遮断桿が下りてきた。
二人は分断された形となり、電車の走行音が聞こえ始める。
「まぁ、ごめんなさいねぇ……。ありがとう」
「いえ、気にしないでください」
集めた小銭を渡すと、高齢女性は笑顔で礼を言いつつ立ち去って行った。
ふわ、と風が吹き上がり、電車が通過していく。
それを待っていると、頭の中で余裕のない大雅の声がした。
『陽斗と繋いでたテレパシーが切断された。この感じ、琴音のときと一緒だ……。たぶん、陽斗も────』
その言葉に衝撃を受ける前に、ぱん、と何処からか手を打ち鳴らすような音が聞こえた。
振り向こうとした小春だったが、突如として何かに捕まった。がっしりと首に右腕を回され、身動きが取れなくなる。
「誰……!? 離して!」
もがいても力では一切敵わない。
そのとき、目の前を走っていた電車が完全に通過し、向こう側に蓮の姿が見える。バーが上がっていく。
小春は縋るように彼を呼んだ。
「蓮……!!」
蓮は大雅からのテレパシーを受け、驚きを顕に眉を寄せた。
「また祈祷師の仕業なのか?」
『分かんねぇけど、あいつが他の魔術師に容易く殺られるとは考えにくいよな。まだ日も出てたから、ヨルでもねぇだろうし……』
大雅と話している蓮は、小春の異変に気付いていないようだった。
「蓮! 助けて!」
小春は精一杯叫ぶが、どういうわけか、蓮には届かない。
うららと同じ消音魔法だろうか。小春から発せられる一切の音が消されている。
心臓が嫌な音を立て始める。指先が冷えていく。
背後にいるこの男は、いったい……?
「ボクじゃないよ? カイハルトを殺したの」
小春の耳元から声がした。
はっとした蓮は声の出処を見たが、誰もいなかった。
得体の知れない気配を感じ、咄嗟に手に炎を宿す。小春を庇おうとしたが、周囲に小春の姿がないことに気が付いた。
「小春!?」
そんな蓮の様子に小春は戸惑った。
音や声が聞こえないだけでなく、見えてすらいないようだ。何の魔法なのだろう……?
「ここ……、ここだよ。蓮!」
急速に不安になった。
このまま存在まで消されてしまうのではないだろうか。
蓮にも気付かれないまま、殺される?
カンカンカン……と、けたたましい音を立てながら踏切のランプが点滅する。
小春を急かしつつ、蓮は歩調を速めた。
そんな蓮に追従しようとした小春だったが、不意に目の前から小銭の散る音がした。
高齢女性がまごついているのが目に入り、咄嗟に駆け寄って屈む。
「大丈夫ですか?」
ぶちまけられた小銭を拾い集めていると、踏切の向こう側で蓮が振り返った。
「小春?」
「ちょっと待ってて!」
そう返したとき、遮断桿が下りてきた。
二人は分断された形となり、電車の走行音が聞こえ始める。
「まぁ、ごめんなさいねぇ……。ありがとう」
「いえ、気にしないでください」
集めた小銭を渡すと、高齢女性は笑顔で礼を言いつつ立ち去って行った。
ふわ、と風が吹き上がり、電車が通過していく。
それを待っていると、頭の中で余裕のない大雅の声がした。
『陽斗と繋いでたテレパシーが切断された。この感じ、琴音のときと一緒だ……。たぶん、陽斗も────』
その言葉に衝撃を受ける前に、ぱん、と何処からか手を打ち鳴らすような音が聞こえた。
振り向こうとした小春だったが、突如として何かに捕まった。がっしりと首に右腕を回され、身動きが取れなくなる。
「誰……!? 離して!」
もがいても力では一切敵わない。
そのとき、目の前を走っていた電車が完全に通過し、向こう側に蓮の姿が見える。バーが上がっていく。
小春は縋るように彼を呼んだ。
「蓮……!!」
蓮は大雅からのテレパシーを受け、驚きを顕に眉を寄せた。
「また祈祷師の仕業なのか?」
『分かんねぇけど、あいつが他の魔術師に容易く殺られるとは考えにくいよな。まだ日も出てたから、ヨルでもねぇだろうし……』
大雅と話している蓮は、小春の異変に気付いていないようだった。
「蓮! 助けて!」
小春は精一杯叫ぶが、どういうわけか、蓮には届かない。
うららと同じ消音魔法だろうか。小春から発せられる一切の音が消されている。
心臓が嫌な音を立て始める。指先が冷えていく。
背後にいるこの男は、いったい……?
「ボクじゃないよ? カイハルトを殺したの」
小春の耳元から声がした。
はっとした蓮は声の出処を見たが、誰もいなかった。
得体の知れない気配を感じ、咄嗟に手に炎を宿す。小春を庇おうとしたが、周囲に小春の姿がないことに気が付いた。
「小春!?」
そんな蓮の様子に小春は戸惑った。
音や声が聞こえないだけでなく、見えてすらいないようだ。何の魔法なのだろう……?
「ここ……、ここだよ。蓮!」
急速に不安になった。
このまま存在まで消されてしまうのではないだろうか。
蓮にも気付かれないまま、殺される?