ウィザードゲーム 〜異能力バトルロワイヤル〜
あくまで仲間ではない、という考えのもとなら、不可能ではないかもしれない。
積極的な協力を強いるつもりはないが、敵でいるよりずっといい。
「……お前たちは、最後どうするつもりなんだ?」
律は直接答えることなく、先ほどの問いを返した。
「わたくしたちは運営側を倒しますわ」
冬真はすぐさま嘲笑した。そんなの無理に決まっている。
律は困惑する。そんなこと考えもしなかった。……だが、それなら身勝手な運営側に一泡吹かせられるのかもしれない。
(運営側と言えば────)
律は祈祷師のことを思い出した。琴音殺害に際し、接触してきた半狐面の男。
『お前は誰だ、魔術師か?』
『いーや、違う。もちろん、キミたちを邪魔する気もない。コトネンを殺したいんデショ? そのために協力しよーよ』
『その前に名乗れ、どういうつもりだ』
『あー、ハイハイ。ボクは通称、祈祷師。ま、ぶっちゃけちゃうと……運営側の者っすわ〜』
実際に目の当たりにした。琴音をも瞬殺してしまうほど強いその実力を。
運営側には、彼のような異能者が複数いるのだ。
五個までなどという制限もなく、ありとあらゆる魔法を使う連中────倒すことなんて出来るのだろうか。到底敵う相手とは思えない。
「……どうやって?」
食いついたように思わず聞き返した律に、初めて冬真の表情が曇った。
冬真は、唯一の生存者になった後の世界を知りたいのだ。うららたちの目的は馬鹿げているとはいえ、敵対する考え方でもある。
律までもが取り込まれたら、冬真の協力者がいなくなってしまう。冬真が最強でいるためには、律の協力も不可欠なのに。
「具体的にはまだ……。今は情報を集めながら、同志を増やしてる最中ですのよ」
うららの返答を受け、律は咄嗟に冬真を見やった。その不興に気付き、ふい、と正面を向く。
「……ふん。そのまま十二月四日を迎えてしまいそうだな」
そう毒づいて律は話題を切り上げた。
冬真は顳顬に人差し指を当てる。
(────ねぇ、大雅。ちょっと僕の話を聞いてくれないか)
ややあって、大雅の不機嫌そうな声が返ってくる。
『……何だよ?』
(君たちに提案がある。僕らと取り引きしよう)
いい機会が訪れたものだ。冬真はほくそ笑む。
うららという人質を有効活用し、自身の目的を果たすチャンス。これ以上ないくらい、最高の口実。
(百合園うららと大雅、君たちを交換したい)