ウィザードゲーム 〜異能力バトルロワイヤル〜
「至に会えたはいいけど、謎が増えたな。あいつの言ってたこと、ほとんど意味分かんねー」
大雅は気怠げにぼやいた。
小春だが小春ではないという仲間のことや、別れ際の言葉など、今考えてもよく分からない。
急に様子がおかしくなったが、体調でも悪くなったのだろうか。確かに顔色は白かったかもしれない。
「“あいつも起きちゃう”……って、あいつって誰だろう。祈祷師? 如月くん?」
「どっちにしろ起きたらやばいよな」
結局、再び会って答え合わせしなければ、まったくの意味不明だ。その魔法についても何も聞けていない。
奏汰はそっと蓮を窺う。小春が気にかかって仕方がないようだ。
「蓮。もしあの影の魔術師が本当に小春ちゃんだったとしても心配いらないよ。でしょ?」
蓮は思い返した。彼女は至を案じていた。
脅されて従っているとか、無理矢理協力しているといったような状況ではないのだろう。
……それ以前に、そもそも小春ではないのかもしれないのだ。
小春なのだとしたら、蓮や仲間と再会して無反応なのはおかしい。能力だって違う。
蓮は深く息をついた。憂いも期待も程々にしておかなければ身が持たない。
奏汰の問いかけに「……そうだな」と頷く。いくらか冷静さを取り戻せた。
「────なぁ、うららたちのことなんだけど」
大雅は紗夜とうららのどちらもテレパシーへの応答がないことを告げた。アリスが切断したことも伝えておく。
「アリス、あいつ今何処で何してんだろうな。死んだわけじゃねぇんだろ?」
「……たぶんな」
少なくとも切断された時点では生きていた。テレパシーの切れ方が、死んだときのそれとは異なっていた。
しかし、それ以降は分からない。今現在生きているのかどうかも。
『……あたし、ちょっと行ってくるわ。心当たりあるから話聞いてくる』
去り際の台詞を思い出す。いったい、誰に何の話を聞きに行ったというのだろう。
彼女の一連の行動を思い、大雅は少し嫌な予感を覚えた。
『────桐生』
そのとき、紗夜からテレパシーが繋がれた。大雅はトンネルの壁から身を起こす。
「お前ら、無事か?」
大雅が返すと、その声に蓮たちも振り向いた。相手が紗夜たちだと分かり、ひとまず安堵する。
『何とかね……、うららも。今トンネルに向かってる。合流したら詳しく話す……』
そうしてテレパシーが途切れた後、五分と経たずに二人が現れた。
“何とか”と答えた割には、彼女たちの身に怪我や傷は一つも見当たらない。
「────何があった?」