死亡エンドを回避していたら、狂愛キャラが究極のスパダリになってしまいました!?
「あなた、ルイといったわね。お父様に雇われる前は、どこにいたの?」
「……。騎士団に」
「騎士団……王国騎士団?」
「そんなところです」
ふい、とルイはあからさまに視線をそらす。
……いやいや、誤魔化し方下手すぎか。
どうやらあまり触れられたくない話題だったようだ。純粋なのか、正直者なのか……嘘がヘタというのはある意味信頼できるのかもしれないけれど。
「経歴を探るのも野暮というものよね。ごめんなさい」
「……いえ」
私がすんなり引き下がったのが以外だったのが、ルイはほんのりと目を見開いている。だからあなたわかりやすいってば。
もうなんだか少し可愛くすら見えてきた。
なんかちょっと、懐かない猫みたいで。
……と、ルイのことはひとまず置いておいて。
(シルヴァンのこともよく分からないし。……とは言っても、私がひとりであれこれ考えたって仕方がないのよね。結局は本人に直接話しを聞かないとなんだし)
帰ったらもう一度、手紙を出してみよう。
今度ははっきりと「婚約解消についてどうお考えですが?」と書き記して。
(外に出て気分転換もできたことだし、そろそろ屋敷に戻ろうかな)
そうして私は、残っていた紅茶を飲み干し席を立った。