死亡エンドを回避していたら、狂愛キャラが究極のスパダリになってしまいました!?
メイドに確認した情報によると、今はシナリオ本編が始まる約半年前らしい。
そして最悪な状況というのは、すでにシルヴァンと婚約関係になってしまっているということだった。
(だからタイミング最悪って思わず言っちゃったけど、本当にまずい……)
前世を思い出したおかげで今の私はシルヴァンに盲目的に惚れていないとはいえ、クレアが絡んだ結果どんな風に転ぶかが全くわからない。
婚約者になってしまった時点で、予測不可能な死亡エンドのフラグが立っているかもしれないのだ。
(ひとまず、死にたくない。うん、死ぬのだけは避けたい)
結局のところこれに尽きる。誰だって命は落としたくない。
そのためにはどうすればいいのかを思案した。
(単純な結論だけれど、シルヴァンと距離を置けばいいのよね。だけどすでに婚約関係にはなっているわけで……)
ああ、どうしてもっと早く前世を思い出せなかったのだろう。お父様が婚約を検討する前なら、もう少しやりようはあったはずなのに。
「お嬢様……エリザお嬢様」
悶々と頭を悩ませていると、メイドがそばにやってくる。
紅茶を手渡してくれるのかと思いきや、その顔は焦りを浮かべていた。