死亡エンドを回避していたら、狂愛キャラが究極のスパダリになってしまいました!?
「どうかした?」
「それが……キンスト小公爵がお嬢様の見舞いにいらしたとのことです」
「キン……え、シルヴァン、様が!?」
呼び捨てにしそうなところを寸前で様付けし、私は声を荒らげた。
***
「わざわざお越しくださりありがとうございます」
突然の来訪だけど待たせるわけにもいかず、私は寝着の上からショールを羽織ってシルヴァンを出迎えた。
「こちらこそ、配慮が足りなくてすまなかったね。君が目を覚ましたと報せを受けてすぐに訪ねてしまって」
ベッドの横に備え付けた椅子に座るシルヴァンは、その麗しい美顔を私に向けてくる。
(うわあ、本当にシルヴァンだ。婚約式の記憶は多少あるけれど、改めて見るととんでもない美形)
指通りの良さそうな白銀の髪と、ルビーをそのまま嵌め込んだような真っ赤な瞳。中性的な顔立ちながらも衣服の上からわかる引き締まった体躯。
さすがヒーローと匹敵するキャラ。只者ではない雰囲気がありありと伝わってくる。