死亡エンドを回避していたら、狂愛キャラが究極のスパダリになってしまいました!?
「身体の方はどうだい? ティフェス侯によると頭を強く打ったと心配しておられたが、無事で本当によかった」
シルヴァンは安堵と心配そうな表情を半々にしてこちらを覗き込んでくる。
しかし、その瞳は随分と冷ややかなものだった。
朧気に残る婚約式の記憶でもそうだけど、シルヴァンは私に興味がないのだ。
(本心ではどうでもいいと思っていそうな目。それもそうか、この婚約自体当主同士が決めたもので、シルヴァンの本意ではないんだから)
でも、そのほうが私としてはやりやすい。
「ええ、頭は問題はありません。どちらかというと、背中の傷のほうが痛みまして……」
「背中?」
「……実は、五針ほど縫ったそうです」
私は気まずさを装って、ふいと肩に手を添える。