お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
プロローグ
どうか皆さん助けてください。
我が家のウサギが、どういうわけか私にまったく懐いてくれません───。
「ニンジンでもやれば?ほら、手からさ」
「そっ、そんなことしたら命が危ないから…!!埋められちゃうよ!?私がっ!!」
「え、めっちゃ凶暴じゃん」
そうなの。
凶暴っていうか、噛み付くしか脳がないって感じかなあ…。
あ、悪寒。
ちょっとナメた想像をしただけで、脳内にいるウサギくんがすっごい睨んできたような気がする。
「そもそもニンジンが嫌いみたいでね」
「は?ニンジン嫌いなウサギなんていんの?初めて聞いたんだけど」
「…うん。十人十色だよね、うん」
実を言うと餌付け作戦は出会って初日で実証済みなのですが、結果はまあ、見てのとおり。
なかなか心を開いてくれないというか、そもそも半径5メートル以内は近づくなって言われてる。
人との距離は半径5メートル、なんて比喩表現としてたまに聞くけれど。
あの子が言っているのは確実に物理的なものだ。