お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
だから雅だってきっと、誰よりも燃える闘志を抱いているんだ。
「丸井、山中東(やまなかひがし)と決まったらしいな」
「甲斐田先輩…!」
おっと。
ここで登場、甲斐田先輩。
どんなにお腹を空かせた先でお弁当に手を付けていようと、必ず雅は彼を優先させる。
それを“憧れ”って言葉だけで片付けちゃうのは勿体ないよねえ~。
「そうなんです。先輩の名に懸けてもボコボコにするつもりなんで」
「はははっ、なら俺も甲子園で優勝するわ」
「…!」
うわあ、今のは格好よかったよね雅…!
あんなふうにはっきり「甲子園で優勝する」なんて、言われた側の女の子は「お前に優勝をあげる」ってことに嫌でも変換しちゃうよ。
青春だ…、
すっごい青春がここにある……!
「応援、してます。なので…ぜったい怪我には気をつけてください」
「…おう、ありがとな丸井。お前もだぞ」
「…はい」
私、甲斐田先輩と雅はお似合いだと思う。
だって何かあると必ず甲斐田先輩は2年A組に来て、小さなことでも雅を心配してるし…。