お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「まだ振られるって決まったわけじゃないよ…?むしろチャンスはあると思うし…!」
「たとえ付き合えたとしても。いつか終わるときのこと考えると…怖いんだよ」
「…いつか終わる前提で考えるのも変だよ、雅」
そうかもな、と。
雅は軽く笑っていたけれど、表情はどこか冷めていた。
「兄ちゃんたちの姿をずっと見てきたからさ。付き合っては別れて、付き合っては別れての繰り返し。
だからなんか……どうしたって後ろ向きになる」
今の関係がいい、なんて。
そんなのは格好わるい強がりでしかないと思った。
いつだってまっすぐで飾らないイケメン女子の雅には似合わない姿だ。
「じゃあ、甲斐田先輩が誰か他の人と付き合っちゃったら?」
「…応援する」
「本当に?ハグしたりキスしたりするんだよ?もしかしたらその先だ───…っ、……はい、もう言いません」
バシッッ!!と、軽く遊ばせていたボールがグローブに力強く入った。