お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
今にも倒れそうな面持ちだったため、こうして家に上げている現在である。
コップいっぱいの麦茶を喉に通し終わった今、やっと体力は回復してきたらしいのだけど…。
「はっ…!しっ、失礼いたしました…!どうぞどうぞ遠慮なくお召し上がってください…!」
「なら帰ってもらっていいですか」
「ナナちゃん…!失礼だよそれはっ」
「…どっちがだよ」
どうにも神谷さんは帰るつもりはないみたいで。
自己紹介をきっちり終えると、レンズの先からまじまじと十波 七兎を捉えた。
「よく見ると…いやいや!よく見なくても大変すっんばらしく格好いい方ではありませんか…!!
これも何かのご縁…!ぜひっ、ぜひともaria10月号の新企画の特集ページを飾っていただきたく……!!」
「えっ、えええっ、それってモデルさんってことですか…!?」
「はいっ!そうなりますね…!“街角で見つけたイケメン男子特集”というものを取り上げておりましてっ!!」
くいっ、くいっと何度もメガネを上げ直す編集部さんこと、神谷さん。
さすがに反応してしまったのは私だった。