お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
……なんだ、これ。
修羅場…?
かなりややこしいことが起こってすれ違っちゃった、織姫さんと彦星さん…?
「わたし、高岡西高校に行ったよ…?十波くんがそこを受けるって教えてくれたから…」
「へえ、マジで行ったとか爆笑だろ。どう?嘘つかれて裏切られた気分は」
「うぅ…っ」
ひ、ひどすぎる……!
やっぱりあのときの最低男はお前だったのかーーーっ!!
女の子を泣かせるなんてっ!
たとえそこにどんな理由があろうと、必死に本心を伝えてくれているのに話も聞かずに泣かせるなんて…!
「こらっ!ナナっ、───七兎!!せっかくお家まで会いにきてくれた女の子を泣かすなんて何事か……!!」
閑静な住宅地にて、玄関の前にて。
声をあげて叱った私はきっと、周りから見ればしっかり者で責任感の強いお姉ちゃんで。
彼はちょっと反抗期な弟以外の何者でもなくて。
そこにお互いがどんな気持ちを隠していたとしても、たぶん、隠しとおすほうが正しいんだろうなって思ってしまった。