お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
ナナちゃんとのすれ違い
「…おはよ」
「……はよ」
「ごめんね…、試合、最後まで観れなくて…」
「…いや、いーよ」
夏休みが明けて学校が始まったからって、そこまで窶(やつ)れる…?
どうしたの、なにかあったの?
だって雅、夏の大会で優勝したんだよね?
もっと喜んでいいんじゃない…?
むしろ喜ぶべきところだよ、ここは。
「……げんき?」
「に、見えるか…?」
「ううん…、まったく…」
「…ゆらもな」
私たちはお互いに同じ表情を映して、自分の席についた。
高校2年生の夏休みが終わった。
いろいろありすぎた、夏休みが。
「じゃんけんでいい?それか、くじ引き?」
「……じゃあ、私から言う」
「…おっけ」
「ナナちゃんが……、…なな、ちゃんが、」
「…うん」
そしてお互いに食欲ナシのお昼休み。
私もお母さんにお弁当はいらないと言ってきたから、とりあえずは自動販売機で買ったお茶のみがスクールバッグには入っていた。
それはどうにも雅も似たようなものらしく、ゼリー状の栄養食品のみ。