お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「それに野球部にはクソかわいいマネージャーがいるからさ」
「え、それは関係なくない…?」
「いや、あるよ。弱ってるときに可愛い子にお見舞いに来られてみ?誰だって落ちる」
「いやいや…!もっと甲斐田先輩を信じようよ雅…!」
「ってより、あのひとモテるんだよ。マネージャーのほうがゾッコンだね」
確かに甲斐田先輩は爽やかだし、誰に対しても分け隔てない笑顔を向けるような人だから。
もちろん後輩からも人気があることは知っている。
でも雅もめちゃくちゃかわいいよ…?
甲斐田先輩と話してる雅は、やっぱり恋する女の子でしかないもん。
「やっぱり甲斐田先輩のこと、好きなんだね」
「…好きだよ。もうゆらには隠さない」
言い切った雅は、やっぱり格好よかった。
そのまっすぐさで甲斐田先輩にもぶつかっていけたなら、きっと彼はこの上なく救われると思うのに。
「ゆらが一生懸命ナナちゃんと向き合ってるとこ見てたらさ…、なんか、心動かされた」
「雅…、やっぱりお見舞いに行ってあげて」
「…だからウチは…なにも言ってやれそうにないんだって」
「それでもいいよ。なにも言えなくたっていい。甲斐田先輩が少しでも雅に寄りかかれるまで、ただそばにいてあげさえすればいいの。
だから雅の気持ちが落ち着いたタイミングで、行ってあげて」