お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
きっと彼はそれを求めている。
背伸びをしてしまうしっかり者って、けっこう大変なの知ってた…?
ちゃんとしなくちゃ、しっかりしなくちゃって責任を勝手に背負いやすくて、その行動が自分を追い詰めていたことにあとになってから気づくの。
甲斐田先輩は、どこかそんな私と同じ匂いがする。
「私だって最初は近づくのすら拒否されてたのに、交換ノートができちゃったくらいなんだよ…?」
「……いや、だからその基準で言われてもワケわかんないんだよ」
「ふふ、確かに」
「…ふはっ」
そして、気の抜けたみたい笑いあう。
そんなものでいいんだよね友達って。
雅に伝えた言葉は、私が自分自身に伝えたい言葉でもあった。
彼が少しでも寄りかかれる存在になれればいいんだ私は。
それで……いいんだよ。
私の場合はそれしか、ダメなんだから。
「あっ、あの……!」
わかっていた。
むしろ私から声をかけてあげようかと思っていたくらいだ。
それから数日後の放課後、校門前には他校の制服を着たおさげ髪の女の子───佳純ちゃんが立っていた。