お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「俺のこと…好き、とか、その友達に言われてなかった?」
「っ……!!いやっ、あれは…!あいつが勝手に言ってただけで…!!」
ゆらのやつ……!!
だから誰にもバレたくなかったんだよ…!
こうやってボロが出ると最悪だから……!!
「なんだ、そうだったのか。…残念だな」
「………えっ」
このひと、いま、なんて言った……?
ざんねん…?
残念って言った……?
それってどういう意味の残念なんだ。
知りたい、聞きたい、けど聞けるわけがない。
「俺はわりとアプローチしてたつもりだったんだけど、…失敗したわ」
「え…、だって先輩は…ウチだけじゃない後輩とかのクラスにも、よく行ってますよね…?」
「───…女の子は丸井だけだよ」
ぎゅっと、いつの間にか背中に回されていた手によって引き寄せられていた。
“女の子”と言われることがこんなにも慣れないとは、自分でも驚いた。
違和感ありまくりだ。
そんなことよりもウチは今、ずっと憧れていた存在に抱きしめられている…?