お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「あっ、リハビリの邪魔してすみません…!」
急に恥ずかしくなって、ぐいっと先輩の腕から逃れてしまった。
でもそれすらもこの人にはお見通しらしく、初めての顔で微笑んでくれる。
「俺がいつもしょっちゅうお前のクラスに適当な理由つけてまで行ってたのはさ、結局はこれなんだよな」
「これ…?」
「雅の顔見るとやる気が出るってか、…頑張ろうってなる。好きな子の顔見ると男なんか、大体そんなもんだろ」
「………」
どうすりゃいーの。
そんなこと言われたって、どんな反応したらいいか分からないんだよ。
できることならTHE女の子って感じの反応をしてやりたいけど、ウチはそんなキャラでもないし。
「意味、わかる?」
「っ…、」
至近距離で覗きこんでくる先輩。
もしかするとこれは夢なんじゃないかって、完璧な流れすぎて疑ってしまう。
「おまえの気持ち、聞きたいよ俺」
「えっ…、……あの…、お、同じ…だったり、します」
「同じって?」
「せ、先輩…、そんな技術、いつ身につけたんですか、」
「アホ、けっこう頑張ってるわ俺も。…だけど言ってくれないと、むやみに先には進めないから」