お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
てん、てん、てん、てん。
そりゃそうだ。
野球部も、私も、そんな話を聞き流していたクラスメイト全員も。
いま、なんて言った……?のリアクション。
そんななかで雅だけは口をパクパク、目をキョロキョロ。
「ってことで雅、あんま足とか出して欲しくないんだわ。これ以上可愛くなられると俺が困る」
「……は、はい、じゃあ…明日から」
「…本当は今すぐにでも戻して欲しいけど、そこは我慢するか」
はい、もうね、うん。
なにかの爆発音と間違えるくらい、それはもうクラスメイトたちの声という声で埋まった教室。
恐るべし甲斐田先輩……!
あんな沈黙のなかで爽やかに放ってしまった独占欲…!!
「どっ、どどどどどういうこと…?いつの間に……?え、ラブとラブなの…?」
「うん。ラブとラブだよ」
と、答えてくださったのも甲斐田先輩。
放心状態の雅を見つめては、「ははっ」と、愛情いっぱいに笑っていた。
え……、すっごい困惑…。
でも雅のおかげで甲斐田先輩が抱えていた肩の荷が解(ほぐ)れている感じがして。
少女マンガ以上の青春を感じる絵面すぎて、なんか逆に嬉しさで泣きそうになる。