お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「雅の友達だよね?俺、甲斐田 遥真。気楽に話してくれていいから」
「あっ、城崎 ゆらです…、どうも…」
甲斐田先輩と初めて話してしまった。
とりあえず一件落着ってことで、いいの…?
雅、今の時間だけで甲斐田先輩の屈託のないストレート球を食らいすぎて固まっちゃってるけど。
「ゆら…、むり…、この人いっつもこんな感じなんだよ……、心臓持たないって…」
「悪いな、俺は変化球は投げられないからさ。それは雅がいちばん知ってるだろ?」
「ふふっ、頑張れキャッチャー!これから先も甲斐田先輩と人生という名のキャッチボールをプレイボールっ!なんつって!」
「「は?」」
「えっ……」
でも、よかったね雅。
私も自分のことのように嬉しい。
最初は変化球で向かった雅のボールが、途中でストレートに変わって、まっすぐ甲斐田先輩に届いたんだね、きっと。
これが、変わったひとつ目。
ふたつ目は───…
「きゃーっ!!十波くんがまた来てくれた~!!」
「眼福タイム…っ!!はあ…、やっぱイケメンって世界救うわ…」
「十波くんお昼はもう食べた?よかったらこれ、購買限定のパンなんだけど…あげよっか…?」