お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
思わず顔を見合わせた。
ポカーンと間抜けな顔をしているだろう私と、言ってから気づいたらしいナナちゃん。
「…まあ、うん」
「えっ、否定してよ…!」
「いや、…する必要ないから」
「なっ…!」
必要ないとかじゃなく、しなきゃダメなんだよ…!
だって可愛いって、どういうこと…?
ナナちゃんには私がそんなふうに見えてるの…?
「だから、…いいかげん俺にくれよ」
「へっ?」
「……いまの写真」
「あっ、はい…」
宝物が増えてしまった。
誰にも見せることができない、宝物が。
「あれ…?おじさん、まだ起きてたの…?」
「ああ、ちょっと目が覚めてしまってね」
それからとある日、夜中に喉が渇いたからお茶を飲もうと階段を降りると、リビングの間接照明が仄かに点いていた。
ソファーに腰かけてグラス1杯のお酒を嗜(たしな)んでいたおじさんは、穏やかに微笑んでくれる。
その表情が暗闇だとよりいっそう、最近のナナちゃんの面影を映し出した。
「これを飲み終わったらちょうど寝られそうかなって思っていたところだよ」
「ほどほどにね。明日もまだ平日だから」
「はは、ご心配ありがとう」