お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。




冷蔵庫から取り出した麦茶をコップに注ぐ。

ゴクゴクと喉に通せば、私もまた眠れる気がした。


大人になるとそれがお酒に変わっちゃうんだ…なんて、ちょっと不思議な感覚。



「写真…?」



おじさんが目を落とす手元には、1枚の写真が握られていた。


足元には大きすぎない段ボール。


よく荷物の整理をしていたら昔の写真を見つけて懐かしんでしまう、なんてことがある。

だからおじさんはこんな夜中にしていたの?と首を傾げた私に、とっさに隠す動きをされてしまった。



「いや、はは、たまたま見つけたから懐かしくなってね」


「おじさん、お母さんには黙ってるから大丈夫だよ」


「…ゆらちゃんには様々だなあ」



ありがとう───静かな空気にぽつりと、柔らかく放たれた。


そこに写っている女性はナナちゃんに雰囲気がそっくりの女性で、隣には10歳ほどかと思われる小さな男の子がいた。

今と比べると当たり前だけど幼くて、無邪気に笑うような愛嬌がある。



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