お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「これ、ナナちゃんだね。かわいい~」
「昔からお母さんっ子でね。母親にベッタリだったよ」
「ええ!そうなんだ」
場所はここのお家だ。
インテリアは今と同じ部分もあるけれど、違う部分もあって、またそれも優しくて切ない思い出が1枚のなかには詰まっていた。
「でも…病気になってしまってから、七兎にはたくさん寂しい思いをさせてしまった」
「…がん、だったって」
「七兎から聞いたのかい?…末期だと言われていたんだ」
痩せ細った身体に、痩(こ)けた頬。
髪の毛はウィッグだろう。
お世辞でも顔色は良いとは言えず、儚さで作られているんじゃないかと思う雰囲気。
それでも、どの写真を見ても彼女は笑顔だった。
「ん…?おじさん、これって…?」
「───…ああ、それは…」
段ボールの奥に、B6サイズの封筒があった。
少し厚みのある封筒だったから、そこにもまた写真が入っているのかと思っていると、おじさんは大切そうに取り出す。
「…これ……、」
その中には、たくさんの手紙。
女性の文字で何通も何通も、とある男の子だけに宛てた手紙だった。