お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
ナナちゃんのためならこんなことへっちゃらだって、そう思って自分で決めたことなのに。
彼のために可愛い服を着ていた佳純ちゃんを前にして、中途半端な自分が情けなく思えた。
「ごめんね雅…、私のために選んでくれた雅にも申し訳なくなって…、こんな自分が嫌になる……」
「…ゆら」
こんなに苦しいなんて思わなかった。
ナナちゃんが佳純ちゃんのことを見ているだけで、考えているだけで、あんなに苦しくなるものなんだって。
喜ばなきゃいけないのに。
お姉ちゃんとして、私は喜ばなくちゃいけないのに。
「ねえ雅、」
「…なに?」
「好きな人と付き合う感覚って、どんな感じ…?」
今の私に、こんなにも最低な質問があるだろうか。
でもいいの。
私が聞いているんだから。
だから雅も遠慮なく正直に答えてくれていいんだよ。
「最高だよ」
「うっ…、正直すぎてもそれはそれでつらい…」
「いや聞かれたから。誤魔化されても嫌に残るだろ」
「…うん。そうだね」
ほんと、雅が雅でよかった。
大丈夫、頑張れ、応援してるよ───そんな御託ばかりを並べるような友達は、今の私には逆効果。