お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。

「でも、好きなやつのためにそこまでしたゆらも…最高だよ」


「……、」



私の必死さをいつも見守ってくれていたのは雅だったね。

雅からしたら「こいつあたま大丈夫か？」って感じだっただろうけど、味方がいてくれるだけで全然ちがった。



「っ…、城崎 ゆらの恋は無事に幕を閉じました！応援ありがとうございましたっ」



雅が味わった“最高”を、私もナナちゃんと味わってみたかった。


お姉ちゃんぶるのなんか、本当はしたくなかった。

元カノさんの背中なんか押したくなかった。

元カノさんのほうへ行こうとするナナちゃんの背中なんか、押したくなかった。



「……ウチさ、もう狂ってていいわ」


「え…？」


「お前が人外に恋しようが、もうそんな概念はゆらに出会ったときから打ち消されてる」


「っ…！」



ぐいっと引かれて、ポスっと埋まった。


イケメンだね？相変わらず格好いいね？

そうやっていつもみたいに笑いたいのに、どうしてうまく笑えないのかなあ…。



「頑張ったんだよな？」


「…うん」


「やれるとこまではやったんだよな？」


「……うん」


「…結果は？」