お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
相手が本当は何を考えていたかを知ろうともせず、結果論だけを見て。
そこに至った経緯すら理解しようとしないで、ただ嘘つかれた裏切られたって自分自身を呪っていたのは俺だったんだ。
ありがとう母さん。
母さんの手紙に助けられたよ俺。
“お友達と喧嘩しちゃった七兎へ”と書かれた1通が、いろんなことを気づかせてくれた。
「俺とちゃんと話し合うために勇気出して家にまで来てくれて、クッキー作ってくれて、…ありがとな」
俺が逃げていただけなんだ。
こうして落ち着いて自分の気持ちを伝えるだけで良かったのに、あの頃の俺はそんなことすらできなかった。
「小山田もいろいろ抱えてたんだろ。女ってこえーもんな」
「…あのときはああ言わないと…クラスの女の子たちに嫌われちゃうって思ったの…、」
「だとしてもあのときの俺は……小山田には俺を選んで欲しかった」
「っ…、ごめんね十波くん…っ」
隠してしまった罪と、言えなかった罪。
それはどちらかではなく、お互いに当てはまるものだ。
「でも俺だって小山田に仕返しみたいな嘘ついた。…ごめん」