お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
ナナちゃんにとって私は少なからず特別なんだって、自分のなかで思うことくらいはいいよね…?
「ナナちゃん…!」
公園内にある東屋。
まるで私を待っていたかのように座っていた人影は、ちょうど駆け寄ったと同時に立ち上がる。
「怪我とかは…っ、のど渇いたでしょ…?私のお茶だけどっ、あっ、さすがに嫌だよね…!待っててそこで買ってく───」
パシっと掴まれた手。
東屋を出ようとした私をくるっと優しく振り向かせたのは、見たこともない目をしているナナちゃんだった。
「のど渇いてんのはどう考えても俺じゃないだろ」
かすれた甘い声、わずかに濡れている髪はいつにも増して艶っぽく、それ以上に妖艶に微笑んでいて。
あの日、雑誌の撮影で特集ページの表紙として撮ったベストショットなど比じゃないと思わせてくる彼は。
私だけを見つめてくれていた。
「傘は?持ってねーの?」
「も、持ってるけど…、それどころじゃなかったから…」
「ほんと、アホ」