お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。




この機に及んでアホときた。

でもそれは蔑(さげす)んでいるんじゃないってことを知っているから、私は空いている手をおでこに持っていく。


どこか覚悟を決めた表情をしているナナちゃんは、きっと佳純ちゃんと上手くいったんだろう。


だから私は嬉しいなって、良かったねって、笑うんだ。



「城崎 ゆら…!無事にナナちゃんを救出することができましたっ、敬礼!」


「───…」


「わ…!……ナナ、ちゃん…?」



掴まれた手に、ぐっと力がこもった。

何かを必死に抑えているように苦しそうな顔と、それ以上に熱にまみれた目。



「今から俺が質問することに、“うん”か“いいえ”のみで答えて」


「え…?」


「それで、もしぜんぶが“うん”だったら…」



そこまで言いかけて、これだけはと釘を刺すように言ってきた。



「あ、ぜったい正直に答えろよ」


「う、うん」



嘘を言った場合の恐ろしい未来が見えて、反射的にもすぐにうなずく。



「で、もしぜんぶが“うん”だったら、」


「うん、だったら……?」


「キスさせろ」


「………」



< 242 / 261 >

この作品をシェア

pagetop