お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
この機に及んでアホときた。
でもそれは蔑(さげす)んでいるんじゃないってことを知っているから、私は空いている手をおでこに持っていく。
どこか覚悟を決めた表情をしているナナちゃんは、きっと佳純ちゃんと上手くいったんだろう。
だから私は嬉しいなって、良かったねって、笑うんだ。
「城崎 ゆら…!無事にナナちゃんを救出することができましたっ、敬礼!」
「───…」
「わ…!……ナナ、ちゃん…?」
掴まれた手に、ぐっと力がこもった。
何かを必死に抑えているように苦しそうな顔と、それ以上に熱にまみれた目。
「今から俺が質問することに、“うん”か“いいえ”のみで答えて」
「え…?」
「それで、もしぜんぶが“うん”だったら…」
そこまで言いかけて、これだけはと釘を刺すように言ってきた。
「あ、ぜったい正直に答えろよ」
「う、うん」
嘘を言った場合の恐ろしい未来が見えて、反射的にもすぐにうなずく。
「で、もしぜんぶが“うん”だったら、」
「うん、だったら……?」
「キスさせろ」
「………」