お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
気持ちを言えない私の目からはポロポロと、大粒の涙になって溢れては止まらなかった。
「わ、わかんないよ……、ナナちゃん、わかんない…っ」
「…円周率?」
「ちがう…っ、どうして…キス、したの…」
「姉弟がこんなことすると思う?」
「し、しないよ…!するわけない…っ」
「そう、しないんだよ。だから俺たちは姉弟なんかじゃない」
たとえ義理だとしても、お互いがこんな顔をしているはずがない。
だから私たちはどうしたって姉弟にも家族にもなれなくて、その関係を壊すようなものが今のキスだったから。
「へ、変なもの…食べちゃった…?」
「食べてねえよ」
「あっ、もしかしてドッキリ…?どこかにプラカード隠し持ってるんだ…っ」
「俺ってそんな性格悪そうに見えてんの」
甲斐田先輩もびっくりしてたんだよ。
雅ってば、『ガチ恋してたウサギに振られちゃったみたいで』なんて包み隠さず言うから。
それで3人でファミレスに行って、結局は雅&甲斐田先輩カップルを見せつけられただけだった。
もちろんふたりには感謝してるけど…。