お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「だって、だって…っ、佳純ちゃんとうまくいったんでしょ…?」
「うん。うまく和解して解決した」
「だったら…っ」
「だからもう俺は遠慮せずゆらを見るし、それでもゆらが“家族”とか“姉弟”ってのに逃げようとすんなら……」
「ひゃ…!」
引き寄せられて今度は耳元。
背中に回された腕は、私の不安を消してしまうくらい熱くて、優しくて、力強かった。
「何回でもするけど。今の」
「っ…!」
あんなのまたされたら、とうとう夢と現実の境界線が分からなくなっちゃう。
もしこれが夢なら、もうそれはそれでいい。
背中に私も腕を回してもいい…?
ぎゅうって抱きついてみてもいい…?
「…いいよ」
「っ……」
なにも言っていないのに、なぜか返事が返ってきた。
好きでいていいよ、好きで居続けていいんだよ、隠そうとしなくていい───。
自分のなかで都合のいい解釈ばかりをするたびに、私の涙は止まることを知らなくなる。
佳純ちゃんのほうに行ってしまったかと思っていた。
私の気持ちは一生言えないんだと思っていた。