お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
『保存用、観賞用、あとはまあ……俺の代わりの実用用ってとこ?』
そんなふうに意地悪な顔をしながらキスをしてきたのは、私だけの秘密というやつだ。
「みんなーっ!わたしもゲットしちゃった~!!」
「えーっ!サキも!?見せて見せてっ!!」
雅に向かっていた女子たちは一斉にターゲット変更。
とりあえず目にできれば彼女たちは満足らしい。
予想していたとおり、例の特集ページの表紙を飾った1枚には誰もが釘付けとなり、そしてデート風写真は私だとはバレていないようで一安心。
「…ん?この服、ウチがゆらに選んだのと似てね?」
────も、つかの間。
ギクッッ!!と、雅の一言に肩が飛び跳ねた私は、静かに着席して心のなかでお経を唱える。
南無阿弥陀仏、なむあみだぶつ…。
「似てねってか、同じ…じゃね?ほらゆら、これ見てみろよ」
「へっ!?いやいや!なんかねっ、そーいうボーイッシュな服が最近のトレンドらしいね…!うん!!」
「……なんでまだ見てもないのに言えんの?」
「はっ!!ち、チラッと見えたから…!」