お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「きゃ~~~!!十波くんだあーーっ!」
「雑誌もいいけど、やっぱり実物のほうがカッコいい~っ!!」
どうしよう、私の名前をお呼びになりました……よね?
ここは返事をするべき?
それとも聞こえないふりのほうが良さそ…?
「これ、忘れ物」
「え…」
「弁当」
はいアウトーーーっ!!!
たとえ消しゴム屋さんとして交流があったとはいえ、私のお弁当を十波 七兎が持ってくるっておかしい。
どうなっちゃう…?
もしバレたとしたなら、私って女子生徒たちに吊し上げられるよね…?
「……なんで落ちてんの」
「あっ、いや…」
いつの間にか目の前に立っていたナナちゃんが、椅子から落ちたままの私を見下ろしていた。
「平気?保健室いく?」
「へ、平気だから…!」
「…俺がゆらと一緒に行きたいだけって言ったら?」
「っ…、」
耳元、しゃがむように囁いてくる年下くん。
毒舌クール義弟から、年下クール(…?)彼氏に変わってしまったナナちゃん。
「ほ~~~?これはまた面白くなりそうだな?」
なんって勝ち誇ったゲスな顔してるの雅……。
ここでとうとう友達である彼女にだけはバレちゃった…ぽくて。
どうなっちゃうの私の秘密だらけの同居生活ーーーっ!!!