お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
根掘り葉掘り聞いてくる───数日前の誰かさんの言葉を思い出した。
そして私の苗字は変わらなかった。
たとえ親が再婚したとしても書類上の戸籍も移動することなく、今までどおり。
だから私は名前も今までどおりで生きることを決めた。
『俺たちは単に親が再婚しただけ。血のつながりがなければ、家族でもないから』
だったら血縁にも戸籍にも負けない家族を作ってやろうじゃん。
という、あの子に対する対抗心がメラメラ湧いたっていう理由もあって。
そういうわけで、あえて私は苗字を変えることはしなかった。
「え、じゃあどうして転校してきたの?」
「もしかして前の学校で退学になっちゃったとか…?」
「でもゆらちゃんはそんな子に見えないし…」
苦笑い、つらい。
こういう話って安易には話せないところがあるから。
ナナちゃんのためにも、今はまだ周りに知らせるときではないと思うし。