お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「うっさいなあ、ほんと。なんでもいいだろそんなの」
「も~っ、なによ雅(みやび)!」
「転校初日で困らせてやんなっつーの。お前らは井戸端会議に集う主婦か」
ここで助け船、登場。
どうにか話題を逸らしてくれた隣の席の男の子は、始業式だというのに制服にジャージを合わせた生徒。
スラックス無くしちゃったのかな…?と、実はちょっとだけ気になっていた。
「てかてかっ!!そういえば新入生のイケメンくん!今なら昇降口に居るんじゃない!?見に行こーよっ!」
「行く行くっ!!待ってよメグミっ」
空気は悪いものにならず、すぐに別の笑顔が広がっていて。
そんな女の子たちは“新入生のイケメンくん”のもとへ。
それは先輩や同学年に騒がれていた1年生の人気者さんのこと。
私と違ってすごく大変な高校生活を送りそうだと、帰ったら顔を合わせるだろう本人さんに思わず同情した。
「ほんっとうちの女子ってうるさいだろ。あーいうのは深く気にすんな?対して本人たちは考えて発言してないから」