お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
機密なんです、なによりの機密情報を握っちゃってるんです私は……っ!!
「あ、てか最京(さいきょう)高校のクール王子が通ったっぽい。
ほれみろ、女どもは今日も後輩ひとりごときにキャーキャー言ってるわ」
あれこそが最高ってか───?と、うちの高校名の略称にかけたジョークを披露した友達は、呆れぎみの視線を廊下へ送った。
「きゃーーっ!!かわいい~っ!!あの足すら止めないクールさが最高っ」
「年下男子やばいっ、可愛いし格好いいしって、もうなんなのっ」
「今こっち睨んだよね!?睨んでくれたよね!?うそっ、ぜったい今日いいことあるんだけど!!」
クラスの女子生徒がやんややんやと騒いでいる先には、この学校の“クール王子”とも呼ばれている1年生の男子生徒の姿。
ただ歩いているだけ。
彼は次の授業の教室に向かうために移動しているだけだというのに。