お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。




「はあぁぁ~…、幸せ……」


「眼福ってこのことよね…、他の男子なんか目に入らないもん」



たったそれだけで先輩でもある女子生徒たちをここまでうっとりさせてしまう有り様だ。

睨まれても嬉しい、むしろ睨んでくださいお願いします───それが彼女たちの脳内らしく。


チラッとしか見えなかったけれど、確かにそれだけでも分かってしまう否定はできない圧倒的オーラ。


そんな本人さんは相変わらず鬱陶しそうな“この世の終わりフェイス”をしているわけなのですが。

バチッと重なった、たった0.5秒のあいだにとてつもなく睨みを利かせられたのは気のせいにしておこう。


とりあえずは念のためにも背筋を伸ばして敬礼っと。



「……でも今日も寝坊して朝ごはんサラダだけだったから、お腹すいてるんじゃないかなあ」


「まーたナナちゃんの心配かよ。ちょっとはあーいうのに目を移してみりゃいいじゃん」



うん、移してるよ。
むしろ誰よりも移していると思うんだ。

だって常にその子のことしか考えてないもん、最近の私って。



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