お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
「消しゴム、貸して」
「へ?」
「家に忘れた」
「………」
と、いう会話はね?
ここでは違和感ありまくりなの、わかる?
どうして十波 七兎が消しゴムを忘れたからって、なにも関係がない城崎 ゆらに借りにくるのか。
生徒たちはみんなこう思うの……!!
「えっ、なに、どういうこと!?ゆらちゃんって十波くんと付き合ってるの…!?」
「ちっ、ちちち違う!ちがうちがう!そんなわけないよ…!!」
「じゃあどうして消しゴム頼まれてるの…?」
ざわざわ、ざわざわ。
朝からこんなざわざわはいらないの…!
うわーっ!どうしようぅぅぅっ!!
なんとか違和感が消えるような誤魔化し方を考えねば……っ!
「えっと、うちっ、代々伝わる消しゴム屋さんでね…!十波くんのお家から近いからっ、昔から家族共々お世話になってるんだ~!」
「えーっ、そうだったの!?」
「なるほどね~!ちょっと納得!」
うそ、誤魔化せた……。
ぜったい無理だと思ったのに……。
だって消しゴム屋さんってなに…?
普通は文房具屋さんとかじゃないの…?