お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
ナナちゃんとの出会い
───それは、今から約2ヶ月前のこと。
「お母さんっ、これどう?変じゃない?ちゃんとしてる?お姉さんっぽい?」
「はいはい。ちゃんとしてるわ」
「もうっ!返事が適当すぎるよお母さん…!やっぱりもう1個のワンピースのほうが良かったかな…?」
「どちらにせよ似たようなものばかりじゃないの」
「そんなことないよっ!」と、わざとらしくスカートを揺らせてアピール。
これは紺色だけど、もうひとつはベージュ色。
初対面だから落ち着いた色にしたほうがいいかなと、ギリギリになって紺色に変更した昨夜のこと。
でも今になって明るいイメージを持つベージュのほうが良かったかな…と。
そんな私の悩みなど気にすることなく、お母さんは首を傾けながら車に乗り込んだ。
「トラックが到着する前には向こうのお家に着いていなくちゃなんだから。早く乗りなさいってば、置いてくわよ?」
「あっ、待って…!」