お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。
もうノート本体も用意しちゃったし、万全の準備を整えている。
って言っても、まとめ買いしていたノートの1冊を交換ノート用にあてただけなんだけど…。
「いろいろ抱えてるものが多そうなんだ…。だからせめて、ふだん隠しちゃう気持ちを日記感覚でいいから書いてもらいたくて」
「…そういや甲斐田先輩も言ってたっけ」
「え?」
「部員ノートを作れって。ふだん抱えてる顧問には言えない不安とかを、部員たちで共有しあうことも大切だってさ」
だからといって顧問に対する悪口とかではないぞ───と、フォローのように付け足した雅。
この作戦は今までと違って手応えがありそうだと私も自信を持っていた。
「いやっ、根本的に違うわっ!それとこれとはどう考えても別だ!!あっぶな…、思わず納得しそうになった……」
「もう決めたの…!さっそく今日から渡してみるっ」
「…齧(かじ)られて終わるだろ」
うん、そうかもしれないね。
でも最近は齧るだけじゃなくて、ちょっと優しさのようなものも見えてきたんだよ。