溺愛執事と極上生活

｢では、風葉様。
また、授業終り次第お迎えに参りますね！｣
｢はい｣

｢風葉様、教室にお入りください｣

｢あ、はい…
じゃあ……名高さんもお気をつけて。
失礼します｣
小さく頭を下げ、小さく手を振り教室に入っていった。

｢………｣
毅登は、しばらく風葉を見つめていた。



｢おかえり！風葉さん｣
｢あ、毬音さん。ただいま！｣

｢………ん？どうしたの？
元気がない｣

｢………なんか…寂しいなって…｣

｢ん？寂しい？｣

｢いつもの所で、お弁当食べたんだけど…
名高さんはずっと、立って待ってた。
お話は付き合ってくれたけど、なんか……｣

｢うーん…私は、この世界しか知らないからな……
あ！明日から、私もお弁当持ってくるわ！
一緒に、食べましょ？｣
｢え？いいの！？｣

｢フフ…もちろん！｣
｢嬉しい！
………あ、でも…毬音さんの屋敷の方の手を煩わせることになるよね？
じゃあ、中道さんに二人分……あ、でも…中道さんの負担になるかな……？｣

｢フッ…フフフ……ッ…｣
毬音に笑われる、風葉。

｢え？毬音さん？｣

｢風葉さんって、ほんと面白い方！(笑)
フフ…お気遣い、ありがとう！
大丈夫よ！
ほんと、お優しいのね！
………きっと、そんなとこが名高様の心を奪った要因なんでしょうね！｣
毬音は終始、クスクスと笑っていた。


授業の合間の休憩中━━━━━━

｢━━━━━あれ？あれ？｣
｢ん？風葉さん、どうしたの？｣

｢小説がなくて…｣
｢小説？｣

｢うん。いつも、読んでる━━━━━あ！ランチバッグの中だ！
毬音さん、私、執事科に行ってくるね！｣

｢え！？え？
風葉さん、それなら名高様に電話━━━━━━
あー行っちゃった(笑)
……………フフ…ほんと、面白い方！(笑)｣
毬音は、敷波に電話をかけた。

『はい。毬音様、どうされました？』
事情を話す、毬音。

｢━━━━━だからね。
名高様にお伝えしてあげて？
きっと風葉さんのことだから、戸惑うと思うの｣
『はい。かしこまりました』


その頃風葉は、執事科に向かっていた。
昼食後、ランチバッグを毅登に渡したままだったからだ。

執事科には、沢山の執事達がいた。
勉強している者、主人の頼まれ事をしている者、様々だ。

｢えーと…名高さんは、どこだろ？｣

キョロキョロしていると、近くにいた執事に声をかけられた。