溺愛執事と極上生活
その日の晩━━━━━━

風呂に入り、部屋に戻るとスマホが鳴り響いていた。
確認すると、亜嵐からの着信が入っていた。

一度切れてしまい、慌ててかけ直そうとすると、すぐにかかってきた。

「は、はい!」
『あ、良かったぁ…出てくれた!』

「亜嵐さん、すみません!
お風呂に入ってて…」
『なーんだ!そうだったんだ!
あいつに、阻止されてたのかと……』

「あいつ?
あいつって誰ですか?」
『ううん!
それより!
デート!明日、会おう!』

「明日ですか?デート…」
『うん!学校終わったら、迎えに行く。
夕食、一緒しない?
ゆっくり、お互いの親の話でもしよ?』

「でも、二人ではちょっと…
名高さんも一緒なら……」
『…………やっぱ、好きなんだ?あれのこと』

「え?」
『ううん。いいよ!名高も一緒でいいから』


通話を切り、風葉は毅登に電話をかけた。
『はい、風葉様』

「今、お電話大丈夫ですか?」
『はい、もちろんです!
どうされました?』

「今、亜嵐さんから電話があって……」
『あ、はい』
あからさまに、毅登の雰囲気が悪くなる。
電話越しでもわかる程の、嫌悪感だ。

「え?あ、あの…名高…さん?」
『はっ…!!?申し訳ありません!
………それで、武神様は何と?』

「明日、夕食一緒しようと誘われました」
『さようですか。
風葉様は、行かれるのですか?』

「はい。
亜嵐さんのお父様のお話聞きたいので…」
『かしこまりました』

「なので、中道さんに伝えておいてほしいのですが……」
『はい。かしこまりました』

淡々と話す、毅登。
いつもと違う雰囲気に、風葉は不安になる。

「名高さん」
『はい』

「怒ってますか?」
『………え?』

「なんか…こ、怖い……です…」
『え!?そ、そんなこと!
申し訳ありません!
誓って、風葉様に怒っているとかではありません!
不快なお気持ちにさせて、申し訳ありません!』

慌てて弁解する、毅登。

「名高さんが、行くなって言うなら……」
『え?』

「行きません」
『え……』

「私……名高さんに、嫌われたくない……!」

『風葉……さ、ま…』

「だから━━━━━━」
『風葉様』
「…………はい」

『今から、お部屋に伺ってもよろしいでしょうか?』

「え?あ、はい。
……………あ、でも!今、パジャマ姿なので、10分後に………」
『…………かしこまりました。
では、10分後に伺いますね!』

通話を切り、風葉はクローゼットへ向かった。

< 26 / 36 >

この作品をシェア

pagetop