こじれた俺の愛し方

彼女との『繋がり』

 そんなことがあった日から数日、俺は職場と家の往復だけをして過ごしていた。

 彼女が気になって仕方がない。
 それでも連絡を催促するような気がして、彼女がまだいるかもしれないコンビニに行くことができなかった。



 その日早めに帰宅出来た俺は、すでに自宅近くの駅にいた。
 職場からの電話着信に気付いた俺は、電車を降りてからすぐに折り返す。

 要件の返事のあと落ち着いて切ったのもつかの間、すぐに掛かってきた別の電話番号に弾みで出てしまった。

 しかし、すぐに繋がりを切れる通話アプリではなく普通の携帯番号で教えてあったのは、職場の他はたった一人だけ…

『…もしもし…黒川さん、ですか…??』

 自信の無さそうな、か細い女のコの声。

 彼女しかいない。
 俺に電話を掛けて来る人間なんて、職場の他は…

『良かった…出てくれた…!!あの…お礼をさせていただきたいんです…。しばらくお会いできなかったので伝えられなくて…』

 彼女は、やはりコンビニのバイトは合わず、あのあと自主的に辞めたのだと俺に打ち明けた。

『…まだ次のアルバイトは見つかって無いんですが…。本当に、いつも助けていただいてありがとうございました。あの時も、本当に黒川さんがいなかったら私…』

 …終わりなのか…?
 彼女と会うことは、もうできないのか…?
 繋がりなんてすぐに切れる。他人なんてそんなもの。
 でも、彼女とも…

『黒川さん、あの…お願いなんですが、私と会っていただけませんか…?』

「…君と…??」
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